はじめに
前回の記事で電磁石をオフで発生する逆起電力を
計算してみました。 今回は、その逆起電力が
指数的に減衰する振る舞いを計算して見る。
減衰する電圧の計算
回路の微分方程式を立て、
減衰電圧の関数を求める。
電磁石オフにすると次図のように
逆起電力による電圧が発生し、その後下がっていく。
この減衰曲線からPICのポートにかかる
電圧と時間を求められる。
PIC 15F1705ポートの入力回路
PIC16F1705の電磁石オフの検出回路は、上のように電磁石オフ時の回路図
電磁石に流れる電流の微分方程式は
上の説明図のようになる。
変数分離形を使えば手でも解けるが
ここでは、hp50gを使って解いてみる。
hp50gで微分方程式を解く
手順は次のとおり
1)微分方程式をhp50g用に修正
2)スタックに次の順序で入力
微分方程式
変数名
hp50の画面を入れる
3)DESOLVE関数で解を得る
一般解が求まる
一般解の定数を定める
電磁石オフ時の初期値
t=0 , I(0) = 1 A を式に代入して
定数C0を定める
C0 = 1A
減衰応答の式が定まる。
逆起電力の減衰時間を計算
定数を定めた式を
hp50gのSolverに入れて、減衰時間を計算する
減衰応答の式で
S1outが 10V になる時間を求める
微分方程式で解いた式は、回路に流れる電流の変化を示す式なので
Solverの y値には、10mAを入力している。
減衰時間 t =2.57(μsec)
PICのポートにかかった電圧
電磁石をオフにすると最初
最大の逆起電圧Vl = 1000VIが発生して
(コイルの並列抵抗 1KΩ として)
その後、
逆起電圧Vlは、指数関数的に減衰していき
約2.57(μsec) 経過で 10Vとなる
この時、PICのポートには、5Vが加わっている。
結果として
この減衰電圧波形が加わったことで、
PIC16F1705のポート入力が壊れたことになる
まとめ
電磁石から信号を使うには
電磁石の逆起電力対策が必要となるので
下記の1)、2)の対策は入れていた。
1)コイルに逆起電力防止のダイオードは入れる
2)PICのポートの前にも電源クランプの
ダイオードも入れる
それでも駄目だった。
原因を推測してみると
逆起電力の電圧が発生した時に
ダイオードが有効に働くまに
時間を要するのではないか?
保護のダイオードが応答するまでに
PICのポートには、2.57sec の間、
規定以上の電圧がかかり続けます。
これによりPICのポートが壊れたと
思われます。
PICなどのマイコンでコイルの電圧を扱う時には、
事前の十分な検討の必要性を実感しました。
オシロなどで測って、安易に波形から
これで良いだろうと進めると、
思わぬ結果になるということです。
今回は、PO16F1705のポートが壊れた。
逆起電力は、侮れない!!










