回路の振る舞いを実機で確認しようとすると、実際のところかなり面倒です
例えば、電圧ならばテスターで測れば良いのですが流れている電流を知りたいとなると,回路を切断して電流計を入れたりすので、かなり大変です。
そこで、LTspiceを使って電圧電流計の出力端子に負荷抵抗をつないで振る舞いを調べてみました。
LTspiceで試すこと
負荷抵抗に流れる電流を変化させて、回路の振る舞いを確認する。
1)負荷抵抗電流の1/1000がVmeterの抵抗に流れている
2)オペアンプのバーチャルショートが外れる電流値
出力電圧: 5V
負荷抵抗: 1Ω 5Ω 50Ω 500Ω
負荷電流: 5A 1A 100mA 10mA
☆負荷抵抗は、LTspiceの電子抵抗で実現する。
LTspiceで電子負荷を実現する方法
シミュレーション中で負荷抵抗を変えるために
電子抵抗を準備する。
電子抵抗の実現方法を調べてみると、4種類ほどあるようです。
ここでは、電子抵抗値をオーム単位で表示できる、
.op モードを使うことにした。
電子抵抗 1Ω から 500Ω 可変
回路図への記述
.op <=シミュレーション方式
{VR} <= 負荷抵抗の値に設定 VRの値を.stepで可変する
.step 1 500 10 <= 1Ω から 500Ω キザミ 50Ω
LTspiceの回路図
シミュレーション結果
負荷電流とVmeterの電流値を比較
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Vmeterの電流値をX1000倍して負荷電流と重ねて表示 ほぼ重なっているので、ほぼ設計どおり動いている。 |
オペアンプのバーチャルショートが外れる付近を拡大してみた
負荷抵抗が5Ω付近になるとVmeterの電圧が5V付近で変わらなくなる。
これは、オペアンプの電源が5Vのため出力できないためです。
シミュレーションでわかったこと
- 出力端子に接続した負荷抵抗の電流の1/1000がトランジスタのICに流れている
- 負荷抵抗5Ω付近になると電流とメーター用トランジsターの電流値が変わらなくなる
- 負荷抵抗 5Ω(1A ) 〜 500Ω(10mA)まで概ね正しく動作する
LTspiceでテスト中に戸惑ったこと
- 電子抵抗は、最初 .tran で作成したのですが1Ω近辺がうまくいかなかった
- 電圧電流計で使ったオペアンプLMC6482は未登録なのでAD820で代用した
- 外部電源7VでAD820を動かそうとしたが、ラッチアップのような振る舞いでうまく動かない。そこで5V電源に接続して動かした。
- Vmeterの電圧が5Vに近くなるとAD820の入力電圧の差が開いていきオペアンアンプの動作がおかしくなるなる現象になる。電源電圧が5Vが原因と思われる。
まとめ
電圧電流計の基本動作は、正しく機能している。
負荷電流の1/1000がメーター用トランジスターに流れている
オペアンプの電源電圧が5Vなので、
負荷抵抗の電流が1A付近くが限界のようです。
これを改善するにはVmeter用の出力を小さくすれば良いのですが、
3桁のパネルメータは、小さな電流が表示できないので
現状のままとした。
また、今回製作した電流検出の部分は、専用のICが各社から出ていて、
アマゾンなどで探すと基板モジュールも売られています。
ただ、使うだけならば、基板モジュールを購入した方が安くて、早いです。